雇用情勢を調べよう
~2つの雇用統計~
読了時間
10分
この記事で分かること
米雇用統計と
ADP雇用統計
雇用統計から
読み解けること
2つの雇用統計
の重要度
米雇用統計の
発表日
まずは確認!
米雇用統計の発表日
毎月第一金曜日
夏季21:30/冬季22:30
(日本時間)
ADP雇用統計の発表日
米雇用統計発表日の2営業日前
【prologue】
米国の雇用統計は特殊?
雇用統計は雇用情勢の動向を測るうえで重要な
世界各国で発表される経済指標です。
とりわけ、米国の雇用統計は世界中の投資家が注目します。
なぜなら、雇用統計は予測が難しく
予想と反した結果で為替相場を大きく動かすことも珍しくありません。
そのため、米国には行政が発表する指標とは別で
民間の企業が発表する先行指標が存在します。
先行指標の存在
米国の雇用統計には
米国労働省労働統計局の発表する経済指標
米国給与計算代行の大手企業 ADP社が公表する先行指標
上記の2種類が存在します。
ここでは米雇用統計とADP雇用統計について簡単に記事にまとめました。
失業率の高さや雇用統計の低さは、そのまま金融恐慌に繋がる恐れが大きいです。
そうなると金の動きは止まり、経済活動は滞ります。
米雇用統計とは
労働省が発表する指標はおおよそ10種類あります。
(比較対象や注視される数字や調査時期によって項目数の増減があります)
ここでは市場に影響が大きい指標を
2つ取り上げます。
①非農業部門就業者数とは
アメリカが発表する指標の中では
雇用情勢を測るうえで最も重要な経済指標です。
前月に雇用された就業者の増減を測ることで
企業活動の活発さ
しいては経済概観を測ることができます。
非農業部門の米国内GDPは80%を占めます。
このことからも米経済を左右するに充分な
経済指標であることが伺えます。
②失業率とは
非農業部門と同じぐらい
影響力の高い重要な経済指標です。
失業率が高まると
企業の業績が悪くなっていると捉えることができます。
このような変化は米国株式、為替市場ともに
予期せぬ変動を起こすことも考えられます。
基本的に非農業部門就業者数と失業率は相対的関係にあります。
つまり、就業者数が下がれば失業率は上がる、ということです。
簡単な補足
農業部門は自営業者、経営者自身が
実労働に就いていることが多いです。
そのため、農業部門の就業者は
雇用統計の調査対象外となり
非農業部門という括り分けになります。
ADP雇用統計とは
米国の給与計算代行の大手企業 ADP社が公表する雇用統計は
そのままADP雇用統計と呼称されます。
米雇用統計は専門家ですら予測が難しく
予想できない結果を招くことも多いのです。
そこで、米雇用統計が発表される2営業日前に
ADP雇用統計が発表されます。
これによって、ある程度は米雇用統計の
動向を探ることができます。
しかし、必ずしもADP雇用統計の通りに
米雇用統計が動くわけではありません。
米雇用統計とADP雇用統計の違い
ADP雇用統計は
あくまでADP社の顧客データをもとに統計結果を算出しています。
つまり、米国内の全ての企業を網羅しているわけではありません。
そのため、米雇用統計とADP雇用統計に
必ずしも相関性は見られません。
ADP雇用統計はあくまで
先行指標として雇用統計の参考程度にとどめた方が無難でしょう。
まとめ
米雇用統計にはおよそ10種類の経済指標がある
重要度にはバラつきがあり
非農業部門者数と失業率は特に重要度が高い
米雇用統計は予測が付きにくい
ADP雇用統計は米雇用統計の参考になる先行指標
【epilogue】
米雇用統計の落とし穴
米国の失業率は
2009年に高い記録を付けてから
現在まで減少傾向にあります。
2019年のトランプ政権における政府閉鎖では
一時的に失業率が上昇しましたが
それでも、長期的に見れば
まだまだ減少傾向にあると言えるでしょう。
また、非農業部門雇用者数は長期的に見て
2009年の大規模な減少以降大きな増減はなく
現在まで横ばいで推移してます。
これらのことから
現在、米国企業が人員削減をしなければならないような状況は少なく
一見して順調に見えます。
雇用者の給料
非農業部門や失業率と比較すると注目度の低い統計
そんな統計の中には平均時給(時間当たり賃金)があります。
米国の平均時給は現在、上昇傾向にありますが
しかし、上昇には衰えを感じます。
GDP成長率が長期的に下降していることから
平均時給の伸び悩みは説明がつきます。
注目度の高い統計ばかりに目が向きがちですが
バランス良く統計を見なければ
思わぬ落とし穴に落ちることもあります。
このように、様々な統計から先行きの不安を見通すことで
金融や経済の流れを読むことは
それほど難しいことではないでしょう。
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【参考】
米国労働省労働統計局-Subject Areas Categories
大手給与計算アウトソーシング ADP社-ADP Research Institute
内閣府-米国等の雇用・所得状況
経済企画庁-年次世界経済報告 世界経済の現勢
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